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オランダ人アーティスト、ルース・ファン・ビーク(Ruth van Beek)の作品集。作者は不思議な言語を作りだした。イメージの繰り返し、視覚的なシークエンス、偶然の類似、自由な連想などが、アルファベットの代役を務めている。作者が自ら集めたアーカイブを出発点としてコラージュや本を制作しており、そのアーカイブからやってきたイメージ群は、いつもお互いに何か会話をしているようにも見える。アーカイブの大部分は古い説明書から見つけられてきている。例えば理解を助ける道具として作られた本、我々の日常の一部となっているものについてアドバイスをくれる本。こうした本に載っている画像には、何かの正しいやり方をやってみせている手が主に写っている。土を掘っている手、人形を作る手、花を活ける手、料理をしている手…日常の様々な場面で我々がしてきていることが現れては消えていく。こうした行為に焦点をあて、元々の文脈から切り離すことによって、作者は我々の想像をかき立て、どうにも落ち着かない居心地の悪い気持ちを掻き立てる。作者の手にかかると、説明書の脇役であった「人の手」が動き出し、物体がキャラクターとなり、抽象的な形に生命が宿る。作者のアーカイブに保管されていた何百ものイメージや実験がこの本の上に一堂に会すこととなった。こうして何かを行う方法を説明していたものたちが、今度は新しい作品を作るためのマニュアルを生み出したのである。
softcover
508 pages
155 x 210 mm
color, black and white
limited edition of 1,500 copies
2018