イギリス人アーティスト、セシリー・ブラウン（Cecily Brown）の作品集。2023年4月から12月にかけてニューヨークの「メトロポリタン美術館（Metropolitan Museum of Art）」で開催された展覧会に伴い刊行された。本書は、作者の絵画、ドローイング、版画を紹介し、静物、メメント・モリ、ヴァニタス（寓意画）などのテーマが絡み合う作品について考察するー冊。

作者は、静物画のモチーフやヴァニタスによる死生観など、ヨーロッパ絵画の最も壮大で伝統的なテーマにつながる豪華な色彩、華麗な筆使い、複雑な物語で鑑賞者を魅了する。本展及び本書は、ウィレム・デ・クーニング（Wilem de Kooning）、フィリップ・ガストン（Philip Guston）、ジョアン・ミッチェル（Joan Mitchell）といった現代絵画を代表するアーティストから、フランシスコ・デ・ゴヤ（Francisco Goya）、ウィリアム・ホガース（William Hogarth）、エドゥワール・マネ（Edouard Manet）、ピーテル・パウル・ルーベンス（Peter Paul Reubens）など西洋絵画の巨匠たちまで、幅広い画家を参照した、影響力のある作品群を再検証する。本書は、作者のこれまでの30年間にわたる創作活動の中から、最近の作品や未発表作品を含め、絵画21点、ドローイング、水彩画、スケッチブック、モノタイプなどの紙作品26点を収録している。また、収録されている対談では、作者の制作プロセスや情報源について洞察を加えており、本書に掲載されているエッセイでは、作者を過去500年の偉大なアーティストの系譜に位置づけている。