首にリボンを巻いている妻の秘密、
過去のセックスをリスト化して迎える終末、
食べられない手術を受けた私の体、
消えゆく女たちが憑く先は……全8編収録。
全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他多数受賞、ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に選出された、いまもっとも注目を浴びる作家の初短編・初邦訳!
「マチャドの言葉は、女たちの記憶と飢え、そして欲望に、ありのままのかたちを与えた」カレン・ラッセル
「消えゆく女たちと世界の終わり、すべてを手に入れてもなお多くを求める男たちの物語が、飽くなき想像力とたぐいまれな声によって美しく束ねられている」ロクサーヌ・ゲイ
巧妙に散りばめられた言葉や断片的な物語が、最終的にパズルのようにはまって大きな物語を作り上げているとわかった時の快感たるやない。訳していると胸が高鳴り、何度も手を止めた。ホラー、SF、リアリズム…ジャンルを越えて描かれる主体性を求める女性の物語は、私たちみんなの物語。
小澤身和子
マチャドの言葉は、一語一語に肉体がある。だからおとぎ話めいているのに、とても生々しい。見知らぬ女たちの物語が、気づくと自分の物語に連なっている。そこがすばらしく、そして怖い。
岸本佐知子
人間はいくつもの時間軸とルールを同時に生きている。
たとえば、社会の一員としての、愛する人との、自分自身との。
時にそれらは相いれず、衝突を起こし、正しさなどどこかに消えてしまう。
でも、そうやって交差することでしか生まれない喜びや瞬間もある。
マチャドの物語を読むと、その途方もない感覚を思い出す。
松田青子
「女性や非白人やクィアな人々にとって、書くことはそれじたい政治的なアクティヴィズムだ」とマチャドは言う。そして、政治的であることと芸術的であることは両立する、とも。マチャドの作品は、それをなにより見事に体現しながら「男だけの世界」の景色を書き換えていく。
小澤英実(「訳者あとがき」より)