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【etc.books】彼女の体とその他の断片

¥2,640 (in tax)

SOLD OUT

首にリボンを巻いている妻の秘密、
過去のセックスをリスト化して迎える終末、
食べられない手術を受けた私の体、
消えゆく女たちが憑く先は……全8編収録。
全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)他多数受賞、ニューヨーク・タイムズ「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に選出された、いまもっとも注目を浴びる作家の初短編・初邦訳!

 

「マチャドの言葉は、女たちの記憶と飢え、そして欲望に、ありのままのかたちを与えた」カレン・ラッセル

 

「消えゆく女たちと世界の終わり、すべてを手に入れてもなお多くを求める男たちの物語が、飽くなき想像力とたぐいまれな声によって美しく束ねられている」ロクサーヌ・ゲイ

 

巧妙に散りばめられた言葉や断片的な物語が、最終的にパズルのようにはまって大きな物語を作り上げているとわかった時の快感たるやない。訳していると胸が高鳴り、何度も手を止めた。ホラー、SF、リアリズム…ジャンルを越えて描かれる主体性を求める女性の物語は、私たちみんなの物語。
小澤身和子

 

マチャドの言葉は、一語一語に肉体がある。だからおとぎ話めいているのに、とても生々しい。見知らぬ女たちの物語が、気づくと自分の物語に連なっている。そこがすばらしく、そして怖い。
岸本佐知子

 

人間はいくつもの時間軸とルールを同時に生きている。
たとえば、社会の一員としての、愛する人との、自分自身との。
時にそれらは相いれず、衝突を起こし、正しさなどどこかに消えてしまう。
でも、そうやって交差することでしか生まれない喜びや瞬間もある。
マチャドの物語を読むと、その途方もない感覚を思い出す。
松田青子

 

「女性や非白人やクィアな人々にとって、書くことはそれじたい政治的なアクティヴィズムだ」とマチャドは言う。そして、政治的であることと芸術的であることは両立する、とも。マチャドの作品は、それをなにより見事に体現しながら「男だけの世界」の景色を書き換えていく。
小澤英実(「訳者あとがき」より)

 

著者情報

著者
カルメン・マリア・マチャド Carmen Maria Machado
1986年、フィラデルフィア生まれ。キューバからの移民である祖父の影響で幼少期から物語を書きはじめ、大学ではジャーナリズムを専攻、その後、写真学科に転入する。アルバイトを転々としながら小説を執筆していたが、アイオワ・ライターズ・ワークショップへの参加が叶い修士号を取得。デビュー作である本書『彼女の体とその他の断片』は、そのクィアな作風から30社ほどの出版社に断られたが、2017年に非営利出版社グレイウルフ・プレスから刊行されると、全米図書賞、ローカス賞をはじめ10の賞の最終候補となり、全米批評家協会賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ラムダ賞(レズビアン文学部門)など9つの賞を受賞した。短編「夫の縫い目」は、ネビュラ賞、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞の最終候補となった。2018年には、ニューヨーク・タイムズ紙の「21世紀の小説と読み方を変える、女性作家の15作」に本書が選出。また同年、ピュリッツァー賞作家ジュノ・ディアスのセクシュアル・ハラスメントを告発し、米国文学界の男性中心主義と女性嫌悪を痛烈に批判した。2019年には、フィクションや批評的手法で描いたメモワールIn the Dream Houseを刊行し、話題となる。また、『若草物語』の四姉妹について女性作家4人が綴るエッセイアンソロジーMarch Sisters: On Life, Death, and Little Womenで、三女ベスを担当(他に参加作家は、ジェニー・ザンなど)。同じく2019年にスタートした、少女ふたりが主人公のDCコミックスシリーズのホラー The Low, Low Woodsでは原作をつとめる。現在はペンシルベニア大学で教えながら、妻とフィラデルフィアに住んでいる。

 

訳者
小澤英実(おざわ・えいみ)
アメリカ文学、文芸評論、翻訳家。東京学芸大学准教授。訳書に、エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』(白水社)、トム・ルッツ『働かない――「怠けもの」と呼ばれた人たち』(青土社/共訳)、ロクサーヌ・ゲイ『むずかしい女たち』(河出書房新社/共訳)など。

 

小澤身和子(おざわ・みわこ)
翻訳家。「クーリエ・ジャポン」の編集者を務めた後、日英バイリンガル誌の編集や、取材コーディネーター及び通訳として海外メディアの日本取材に携わる。訳書に、リン・ディン『アメリカ死にかけ物語』(河出書房新社)。

 

岸本佐知子(きしもと・さちこ)
翻訳家。訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』(講談社)、リディア・デイヴィス『話の終わり』(作品社)、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』(新潮社)など多数。編訳書に『コドモノセカイ』(河出書房新社)、『変愛小説集』、『楽しい夜』(ともに講談社)など。著書『ねにもつタイプ』で第23 回講談社エッセイ賞を受賞、他に『ひみつのしつもん』(どちらも筑摩書房)など。

 

松田青子(まつだ・あおこ)
作家、翻訳家。著書に、小説『スタッキング可能』『英子の森』(河出書房新社)、『おばちゃんたちのいるところ』(中央公論新社)など。2019年、『ワイルドフラワーの見えない一年』(河出書房新社)収録の短篇「女が死ぬ」がシャーリィ・ジャクスン賞候補に。訳書に、カレン・ラッセル『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』、アメリア・グレイ『AM/PM』(いずれも河出書房新社)など。


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