ドイツ人アーティスト、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)とドイツ人アーティスト、ブリンキー・パレルモ(Blinky Palermo)の作品集。2021年4月より2022年にかけて、豊田市美術館、埼玉県立近代美術館、国立国際美術館にて巡回する展覧会『BEUYS+PALERMO』に伴い刊行された図録。1960年代のデュッセルドルフ芸術アカデミーで教師と教え子の関係にあったボイスとパレルモ。芸術概念を拡張し、積極的に社会へ働きかけたボイスと、抽象的で静謐な作品を作り続けたパレルモの個性は一見対照的でありながら、芸術を生の営みへと取り戻そうと試みた点では共通していた。1960-70年代の両者の代表的な作品と本展企画者やドイツの研究者による書き下ろしのボイス論、パレルモ論、各論を軸に、アクションあるいは制作中の様子を捉えた多数のドキュメント写真や、ボイスがパレルモについて直接語ったテキストの全文翻訳など、貴重なアーカイブ資料を織り込んで重層的に構成された一冊。ボイスの「作品」と造形理論にあらためて光を当てるとともに、パレルモの活動を日本で初めて包括的に検証する。
「第二次世界大戦以降の最も重要な芸術家のひとり、ヨーゼフ・ボイス(1921–1986)。彼は「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」と語り、ひろく社会を彫刻ととらえ社会全体の変革を企てました。本展では60年代の最重要作品である《ユーラシアの杖》をはじめ、脂肪やフェルトを用いた作品、「アクション」の映像やドローイングなど、彼の作品の造形的な力と芸術的実践にあらためて着目します。
ボイスは教育者として多くの芸術家を育成したことでも知られています。ブリンキー・パレルモ(1943–1977)もその教え子のひとりです。この早世の画家が60年代半ばからの短い活動期間に残したささやかで抽象的な作品は、絵画の構成要素を再構築しながら、色彩やかたちの体験をとおして私たちの認識や社会的な制度に静かな揺らぎをもたらそうとするものでした。
一見対照的な二人のドイツ人作家の作品は、しかしボイスがのちにパレルモを自身に最も近い表現者だったと認めたように、芸術を生の営みへと取り戻そうと試みた点で共通していました。両者の1960–70年代の作品を中心に構成される本展は、約10年ぶりとなる日本でのボイス展であり、公立美術館としては初めてのパレルモ展です。二人の作家それぞれの特徴をうかがいながら、両者の交わりや重なりに彼らの実践の潜勢力を探る本展が、社会と芸術のかかわりについてあらためて問いかけ、芸術の営為とはなにかを見つめなおす機会となることを願います。」
(美術館公式テキストより)
EXHIBITION:
ボイス+パレルモ
会期:2021年4月3日(土)- 6月20日(日)
時間:10:00-17:30 月曜休館
開催場所:豊田市美術館
会期:2021年7月10日(土)- 9月5日(日)
時間:10:00-17:30 月曜休館
開催場所:埼玉県立近代美術館
会期:2021年10月12日(火)-2022年1月16日(日)
時間:10:00-17:00 / 夜間開館(金・土) 10:00–20:00
月曜休館
開催場所:国立国際美術館
by Blinky Palermo , Joseph Beuys
hardcover
368 pages
297 x 200 mm
color, black and white
2021
published by MY BOOK SERVICE