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メキシコ人建築家、アグスティン・エルナンデスの作品集。
「メキシコでは、独立戦争が終わって初めて先住民の芸術が返り咲いた。スペイン王室が撤退したことで、初めてメキシカンアート精神が長い間蔑ろにされてきた過去を振り返ることになり、その素晴らしさに驚嘆した。それ以来メキシコの画家や作家、建築家たちは自分たちの祖先の芸術にインスピレーションを求めるようになった。メキシコのモダニズムと壁画運動は、スペインによる征服以前の芸術と最先端の感性をブレンドすることによってメキシコという国家のアイデンティティを作り上げようとした。この大きな流れの支流からアグスティン・エルナンデス(Agustín Hernández)が登場したのである」
―Tezontle Studio & Luis Orozco Madero
インテリア雑誌「apartamento」が敬愛する建築家と彼らの建てた邸宅、その裏にあるストーリーに焦点を当てるシリーズの第四弾。1924年生まれの作者は、モダニスト的な考え方とメキシコの過去に対する誇りの回帰が融合した時期に円熟期を迎えた建築家である。コロンブスのアメリカ発見以前の文明の象徴、神話、都市計画の原理を組み合わせ、威風堂々たる建造物を作るという建築運動の先頭を切った。現代におけるマヤ族の儀式の場として設計した陸軍士官学校から、姉に依頼されて田舎に建てた蛇の象徴性をデザインに取り入れた瞑想センター、1975年に自らの為に建てたスタジオ兼自宅の『Praxis』まで、現代の視点から見ても前衛的な作品を多数残している。幾何学的なデザインのツリーハウスは、今もなおメキシコシティのボスケス・デ・ラス・ロマス地区に聳え立っている。本書に収められた写真は、アメリカ人フォトグラファー、ライアン・ローリー(Ryan Lowry)が撮り下ろし、メキシコのアート & 建築スタジオ「Tezontle Studio」とメキシコ人アーティスト、ルイス・オロスコ・マデロ(Luis Orozco Madero)、メキシコのギャラリー「TRAVESÍA CUATRO」のセールスディレクターでありキュレーターのカルロッタ・ペレス=ジョフレ(Carlota Pérez-Jofre)、エンリケ・ヒネール・デ・ロス・リオス(Enrique Giner de los Ríos)が寄稿を寄せている。
hardcover
88 pages
170 x 240 mm
color
2020