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Sister x 映画「マルケータ・ラザロヴァー」
Sister x 映画「マルケータ・ラザロヴァー」

COLLABORATION ITEMS

映像化不可能と言われた同名小説を、
チェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠
フランチシェク・ヴラーチルが映画化。
チェコ映画史上最高傑作との
コラボレーショングッズを発売!

映像化不可能と言われた同名小説を、
チェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠フランチシェク・ヴラーチルが映画化。
チェコ映画史上最高傑作と言われた作品が55年の時を経て日本初劇場公開。

舞台は13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。修道女となることを約束されていた少女マルケータは、領主とは名ばかりの父・ラザルと敵対する盗賊騎士コズリークの息子・ミコラーシュと恋に落ちる。彼女の心とは裏腹に、増大する王権と二つの部族間の衝突は激化していき……。キリスト教と異教、人間と野生、愛と暴力に翻弄される人々を描いた本作は、『アンドレイ・ルブリョフ』(’71年/アンドレイ・タルコフスキー監督)、『七人の侍』(‘54年/黒沢明監督)などと並び評され、1998年にはチェコの映画批評家とジャーナリストを対象にした世論調査で史上最高の映画に選出された。

Sister x 映画「マルケータ・ラザロヴァー」

極寒の山奥で生活しながら548日間にも
わたる撮影を決行し、
中世を忠実に再現。
綿密、大胆、崇高、獰猛な
エネルギーに満ちた
「フィルム=オペラ」。

「過去の出来事をなぞるのではなく、歴史の内側を直感的に捉えたい」という監督の強い執念から、衣装や武器などの小道具を当時と同じ素材・方法で作成し、極寒の山奥で生活しながら548日間にもわたるロケーション撮影を行なった。原作はチェコでは知らぬ者がいないという、ヴラジスラフ・ヴァンチュラによる同名小説。衣装を『アマデウス』でアカデミー賞を受賞したテオドール・ピステック、音楽をヤン・シュヴァンクマイエル作品など多くの映画音楽を手掛けるズデニェク・リシュカが担当し、綿密にして大胆、崇高で獰猛なエネルギーに満ちた「フィルム=オペラ」が完成。55年の時を経てついに日本で初劇場公開となる。

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STORY

舞台は13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。
ロハーチェックの領主コズリークは、勇猛な騎士であると同時に残虐な盗賊でもあった。ある凍てつく冬の日、コズリークの息子ミコラーシュとアダムは遠征中の伯爵一行を襲撃し、伯爵の息子クリスティアンを捕虜として捕らえる。王は捕虜奪還とロハーチェック討伐を試み、元商人のピヴォを指揮官とする精鋭部隊を送る。
一方オボジシュテェの領主ラザルは、時にコズリーク一門の獲物を横取りしながらも豊かに暮らしていた。彼にはマルケータという、将来修道女になることを約束されている娘がいた。
ミコラーシュは王に対抗すべく同盟を組むことをラザルに持ちかけるが、ラザルはそれを拒否し王に協力する。ラザル一門に袋叩きにされたミコラーシュは、報復のため娘のマルケータを誘拐し、陵辱する。部族間の争いに巻き込まれ、過酷な状況下におかれたマルケータは次第にミコラーシュを愛し始めるが…

Sister x 映画「マルケータ・ラザロヴァー」

DIRECTOR's PROFILE

監督・脚本フランチシェク・ヴラーチルFrantišek Vláčil

1924年チェコスロバキア(現チェコ共和国)チェスキー・チェシーン生まれ。 1945年よりブルノの大学で美学と美術史を学ぶ。在学中に映画製作に興味を持ち、ブルノ漫画・人形映画スタジオで脚本家として働く。その後、新しく設立された科学教育映画スタジオにて短編ドキュメンタリー映画の制作に携わる。 1951年からは陸軍の映画スタジオで働き、短編ドキュメンタリーを制作。1958年には初の短編劇映画『ガラスの雲』を監督した。その後、チェコの大スタジオ「バンドラフ・スタジオ」に移り、1960年に初の長編映画『白い鳩』を監督。この作品はカンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で評価され、チェコ・ヌーヴェルバーグの嚆矢と言われている。その後、『悪魔の罠』(‘61年)『マルケータ・ラザロヴァー』(‘67年)『蜂の谷』 (‘67年)の歴史三部作、初のカラー作品『アデライド』(‘69年)を監督し、それぞれ高い評価を得た。「正常化」以降、ヴラーチルは長編映画の製作を許されず、バランドフ・スタジオを去らざるを得なかった。1976年に再び長編映画の製作が許可され『焼きジャガイモの煙』(‘76年)を監督。『暑い夏の影』(‘77年)はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でクリスタルグローブ賞を受賞した。ビロード革命後、これまでのチェコ映画への貢献に対してチェコのアカデミー賞であるチェコ・ライオン賞を受賞し、チェコ映画テレビアカデミーの会長に就任した。1999年死去。

原作ヴラジスラフ・ヴァンチュラVladislav Vančura

1891年シレジア地方ハーイ生まれ。 1915年よりカレル大学で法律を学ぶもすぐに医学に転向。病院で数カ月間働いた後学位を取得した。1923年に初の短編集を発表、その後も数々の小説、戯曲を発表し高い評価を得た。チェコの前衛芸術家集団「デヴィェトスィル」の創設メンバーであり、初代会長を務めた。 1931年に代表作『マルケータ・ラザロヴァー』を出版。本作はベストセラーとなり「第一級の革新者」として評価を受け、チェコスロバキアの国家文学賞を受賞した。反ヒトラー運動に参加し 、1942年ゲシュタポによって処刑された。

COMMENTS&REVIEWS

COMMENTSコメント
※50音順・敬称略

形ばかりの信仰心と生々しい欲望が入り乱れるなか、マルケータは祈る。
だが、何を、誰のために祈っているのか。
その姿は、中世のボヘミアという時空を超えて、現在の私たちにも多くを訴えかける。
映像、音楽、ポエジーが三位一体となった奇跡的な作品。

阿部賢一(チェコ文学者)

この神秘性に満ちた世界の中を小さな息としてただひたすら漂う。その緊張と独特の冷たさに満ちた空気の中を、少女マルケータの視線に導かれ終わりまでずっと映画と一体になったような感覚だ。全く別の世界に存在している。そう思える感覚が私が喜びとする体験であり、マルケータの成長を思いながら最後にやっと深い息を吐き出せた。

太田莉菜(女優・モデル)

ロケーション撮影がともかくも秀逸であり、空間のなかで衣装が溶け込みことばと共に俳優の動きにこころ驚く映画である。

北村道子(スタイリスト)

(……)中世ボヘミアという物語の舞台や、あまりに粗野な人間たちの姿は、現代の自分からはかけ離れた何か遠いものとして、漠然と感知される。しかし、時折その遠さの向こうから、登場人物たちの内面が唐突に至近距離まで迫ってくる。(……)※『マルケータ・ラザロヴァー』パンフレットより抜粋

富重聡子(チェコ映画研究)

黒澤もタルコフスキーをも超えた、ゴスもサイケデリックも含んだ鮮烈な叙事詩に圧倒!ミスティック過ぎる声楽にも、観ている間中、安堵と溜息が止まらず、マグダ・ヴァーシャーリオヴァーの可憐さにも感銘する!倍の低速に落としてでも、永遠にスクリーンで見続けたい崇高な瞬間の連続に、ひたすら酔い続ける至極の2時間40分!

中原昌也(ミュージシャン・作家)

あえてストーリーを頭に入れず、人物の関係も把握せずに観て、それはまさに「未知の世界(『中世』)に分け入る」——という思いだったのですが、「振るい落とされまい」とする鑑賞者の自分の意識も強く、ほとんどその意識はサバイバルの本能にも似ていて、すさまじい鑑賞体験となりました。
凄い映画だと思いました。

古川日出男(作家)

21世紀の現在が喪失しているもの、それは中世だ。聖書の神意と諸王の暴虐は、中世に大きく覆っていたのである。西欧社会はこのことを忘れたふりをしつづけた。慧眼のフランチシェク・ヴラーチルはとっくにそのことに気づいて、10年をかけた本作にとりくんだのであろう。
聖欲と天罰、待ち構える隼と追い続ける狼、釘と靴と剣のエロス、侵犯と懴悔のリフレイン、神と獣帯の対同、姦淫が育む恋闕、累々たる死体と飽くなき野心、立ち止まる大鹿と迷う小羊‥‥。中世の多くの対比的寓意がモノクロームの瞠目すべきアングルに抉られて、中世の意思を鮮烈に問うている。
物語の進行はすべてト書が暗示して、映像はまるで世阿弥の神体・軍体・女体・老体・玄体が示すかのように、登場人物たちの眼光の力だけを雪中に映し出す。その編集技法は数人の守護聖人の視線のようだった。そういう忘れがたい映画である。

松岡正剛(編集工学研究所所長)

この伝説的なチェコ映画は、キン・フー入寂以後われわれが長い間忘れていた、映画における<大形式>を観る者に想い出させる。野卑と崇高。疑惑と熱情。積み重なる憎悪のなかで喪失されていったもの、つまり世界の神聖さを回復させるために作られたフィルムだ。

四方田犬彦(映画誌・比較文学)

REVIEWSレビュー

開始1分足らずでこの映画が定義不可能であることを知る。「映画の狂詩曲」と言われ、チェコ映画史上最高傑作であると同時に最も困難な作品であるという評価も納得だ。
ヴラーチルは絶望、欲望、復讐の世界を落ち着かない筆致で描き、カメラは人物、動物、自然の移り変わりを好奇心を持って追う。この物語と忘れ去られた人々が記憶から消えてしまわないように、すべての瞬間、すべての行動、すべての感覚をとらえようとしているのだ。それは親密な叙事詩であり、具体的な幻覚であり、直感のシンフォニーであり、そしておそらく最も影響力のある、美しい残虐性の表現なのだ。
野心的で、まったくもって独創的だ。

Slant Magazine

『マルケータ・ラザロヴァー』は、途方もない映画である。
中世の騒乱と神話、重苦しい観念と肥大した信仰心が入り乱れ、
「過剰」という言葉の定義を塗り替えたかのような作品である。

New York Times

計り知れないプロット、「純映画」として驚くほど荒々しくダイナミックだ。
モノクロのスコープカメラが残酷で荒涼とした風景を映し出し、不気味なサウンドデザインが幻覚のような質感を与えている。これの作品はただの歴史ドラマではない。より神秘的であり野性的だ。まるでいにしえの聖歌のように。

Time Out

これまでに作られた中世を舞台とした映画の中で最も説得力のある映画と言っても過言ではない。この骨太でうっそうとしたジャコウウシのような映画に、誰もが舌を巻くはずだ。

Village Voice

この映画は、物語/空間と時間/映画とは何かという我々の固定観念をねじ曲げる。
視覚と聴覚の不思議さに身を委ねる時、何が起こるかを再発見させられるのだ。
アグレッシブでアバンギャルド、実験的な映画だが、決して観念的な映画ではない。
エネルギッシュに移動するカメラと洗練された編集によって、プリミティブな獣のエネルギーのような、人類の歴史の原初を覗き見るようだ。それは残酷だが生命力に満ち、官能的な喜びを呼び起こす。

Tom Gunning(Criterion onlineより)

TRAILER